服部緑地にはあちこちにユ-カリの木が植えられていて、かなり大きくなっています。 どことなく異様な雰囲気をもった木で、日本離れした印象を受けますが、 それもそのはず、この仲間の木はオーストラリアやタスマニアなどの原産で、 日本へは明治10年頃導入されたとされています。
よくご存じのように、オーストラリアの大陸内部には大きな砂漠があり、
ごく一部の地域を除き、厳しい乾燥にさらされています。
そのため、そこに成育するアカシアやユ-カリなどの樹木も乾燥に適応するため、
さまざまな変異をとげています。その結果、同じ個体でありながら、
若い枝と古い枝で葉の形が全く違っていたり、若木と老木で樹形や葉のつきかた(若いときは対生(右の写真:(長居植物園 1999.10.9))、成熟すると互生)
が違ったりすることが当り前のように起こります。したがって種をきちんと同定することが難しく、
ちょっとした違いに注目して別種として取り扱うことが多いのか、
現在300以上の種があるとされています。
しかし、こんなにたくさんの種があるといわれても、それらをきちんと区別する検索表があるわけでなく、
本に書かれた記載だけで目の前にあるユ-カリが何という種なのかを区別するのはかなり困難です。
そうはいっても、日本の風土に適応して大きく成長できる種類はそれほど多くないようで、 ごくふつうに見かけるものは、樹皮が細長く剥がれ落ち、また幹もねじれたようになっているものが多いようです。 いろいろな図鑑で調べますと、これはどうやら E. globurus(ユ-カリジュ)とよばれるもので、 白い花が咲きます。
また、生け花をされる方は、粉白色の丸い葉を対生させたツキヌキユ-カリをご覧になったことがあると思います。
これは名前のとおり対生した2枚の半円形の葉が合着し、その真ん中を茎が貫いているもので、
でき方の原理はツキヌキニンドウと同じです。ただし、葉が対生していても突き抜きにならかったり、
互生する部分があったり、葉の形が丸くならず、葉柄をもった披針形になったりします(右写真:ツキヌキユーカリ(八尾市神立 2004.10.23))。
これによく似た種にギンマルバユ-カリがあり、別種に扱われますが、
私には区別する自信はありません。